新しいリールで3月5日にバチコンアジングへ行ってきましたが、バラシの多さにびっくりしました。「バラシが多い理由」に「ドラグが緩すぎ」という仮説を立ててみました。
これまでドラグ調整はラインを手である程度の力で引っ張ってみてドラグが出る程度というあいまいな方法で調整していました。「実際の調整値は何キロだったのか?」はわかりません。
今回は、ドラグの調整を適切にする方法、ドラグの調整値の確認方法をテーマに記事にしてみました。何キロに設定しているのかが明確になれば、仕掛けが変わったり対象魚種が変わっても適切な対応ができると考えます。別のタックルでも同じ設定にできます。
ドラグとは
まずは、ドラグとは何かについてです。
魚がかかった際に、ラインシステムやロッドが限界を超えて破断しないように、一定の力がかかるとスプールが逆回転してラインを放出してくれる機構がドラグです。
各製品のスペック表に記載されている「最大ドラグ力」についてです。
ダイワとシマノの説明を引用しています。
ドラグを締め込める限界点でラインを引き出せる力となります。
「カタログ表記の「最大ドラグ力」の意味は何ですか。」 DAIWA お客様センター
[最大ドラグ力の定義 測定基準]
基準ラインを規定量巻き、ドラグを最大限手で締めた状態でラインを引く。
この時にドラグが滑り始めた時点のテンションを最大ドラグ力と呼びます。
「最大ドラグ力、実用ドラグ力とは何ですか。」 SHIMANO CUSTOMER CENTER
最大ドラグ力の計測方法についてです。
- スペック表に書いてある標準巻糸量または号数糸巻量までラインを巻いた状態で計測
- 「巻き取り長さ」または「最大巻上げ長」になるまで糸を巻いたときの状態。
- リールはロッドに装着せずラインをガイドに通さずに計測
ダイワ製品にはありませんが、シマノ製品には「実用ドラグ力」という項目があります。
[実用ドラグ力の定義 測定基準]
基準ラインを規定量巻き、ドラグを手で締めた状態でラインを引く。
この時に実使用状態で調整が容易にできる範囲での最大張力を実用ドラグ力と呼びます。
「最大ドラグ力、実用ドラグ力とは何ですか。」 SHIMANO CUSTOMER CENTER
- ドラグはスプールの外径サイズの影響を受ける
-
スプール径の半径が大きいほどドラグは出やすく、半径が小さいほどドラグは出にくい。
スプールに巻かれているラインの量でドラグに影響を及ぼし、浅瀬と深場ではドラグのでやすさがことなる。 - ロッドの角度でドラグの出方が変わる
-
ロッドを立てるとドラグはでにくく、ロッドを寝かすとドラグが出やすい。
ロッドの角度を変えることでロッドで吸収する力を変化させるためドラグをコントロールすることが可能。 - ドラグが出続けると緩くなる
-
ドラグはカーボン素材やフェルト素材のドラグワッシャーをドラグノブをまわして締め付けスプールのすべり(逆回転)を調整します。ドラグが出続けるとすべりが長時間になるとドラグ部が高温になり滑りやすくなるためドラグが設定値よりも緩くなってしまいます。
水洗い時にドラグを締めないとドラグワッシャーのグリスやオイルが水で流れてしまいドラグの効きの悪化を早めてしまいます。
ドラグを緩めすぎた場合のデメリット
- 魚が寄らない
- 糸がよれる
- 鈎が貫通しにくい
ドラグを締めすぎた場合のデメリット
- ラインが切れる
- ロッドに負担がかかる
- 鈎が伸ばされやすくなる
それではドラグはどれくらいに設定するのが適正値なのでしょうか?
ドラグの適正値
破損防止のための適正値
一般的にドラグの適正値は、ライン強力の1/4~1/3といわれています。
この数値はあくまで目安です。
実釣では、ラインはどんどん劣化していくものです。
その他、様々な要因を考えマージンをとった数値が先人たちによって伝えられています。
普段のバチコンアジングの逆ダン仕掛けで考えるとそれぞれの強力は以下の通りです。
この中で一番強力が低い箇所の1/4~1/3にすればラインが破断する可能性は限りなく低いといえます。
項目 | 強力 |
---|---|
PEライン 0.4号(UVF PEデュラセンサー×8+Si2) | 3.9kg(AVE.) |
リーダーライン 2号(KGC シーガー グランドマックスFX) | 3.6kg (結節強力:3.35kg) |
PEラインとリーダーラインの結節部(FGノット) | 約3kg(約90%) |
ジグヘッドとリーダーラインの結節部(漁師結び) | 約2.8kg(約85%) |
普段使用している逆ダン仕掛けで一番強力が落ちるのはジグヘッドとリーダーの結節部であると考えられます。
その値の1/4以下にしておけば「破断」は発生しにくくなります。
算出値は、0.7kgです。
0.7kg(700g)以下に設定すれば、仕掛けが破断することはほぼなさそうです。
フロロラインリーダーを使用した場合の強力の1/4で計算すればよいでしょう。
以下は、普段のバチコンで使用しているKGC シーガー グランドマックスFXの場合です。
号数 | 強力(lb) | 1/4【g】 | 1/3【g】 |
---|---|---|---|
0.3 | 0.5 | 57 | 76 |
0.4 | 0.65 | 74 | 98 |
0.5 | 0.8 | 91 | 121 |
0.6 | 1.05 | 119 | 159 |
0.8 | 1.45 | 164 | 219 |
1 | 1.8 | 204 | 272 |
1.2 | 2.15 | 244 | 325 |
1.5 | 2.55 | 289 | 386 |
1.75 | 2.9 | 329 | 438 |
2 | 3.35 | 380 | 507 |
2.5 | 3.85 | 437 | 582 |
3 | 4.9 | 556 | 741 |
以上がラインシステムの破断を防止するためのドラグの適正値の算出方法でした。
ラインシステムの破断以外にロッドの破損の防止の役割もありドラグ設定は重要です。
キャッチ率アップのための適正値
次は、魚のバラシとドラグの設定値の関係について考えます。
ネットで以下のような内容を見つけました。
ドラグを緩めるとバラシが増える
ワームのカラーをローテーションする、アクションをいろいろと試す、などなどでその日のヒットパターンを探ります。運よくヒットパターンを見つけたとしても、魚をランディングするまでを無事に済ませるようバラシをなくさなければ釣果は増えません。
ハリに掛かった魚を逃がしてしまうことをバラシといいます。ほとんどは魚が一度かかったハリから外れるバラシです。そのほか、ラインブレイクによるバラシが考えられます。
バラシとドラグ設定がどのように関係しているのか?
ドラグの説明で「ドラグが緩めすぎた場合のデメリット」について記載しましたが、その中の次の2点が深く関係します。
- 魚がよらない
- 鈎が貫通しない
この2点についてさらに説明します。
- 魚がよらない
-
「魚がよらない」というのは、魚が行きたい方向に自由に暴れているとも言えます。
根魚が根に潜る、青魚が走るなど。
その結果、ラインが擦れて切断したり、口に掛ったハリが外れやすかったり、ラインがたわんで針が外れやすくなったりです。 - 鈎が貫通しない
-
フッキングの瞬間にドラグが滑るとその分、鈎の刺さりが浅く外れやすくなります。特に太軸や大きめのサイズを使用しているとその傾向が強く出ます。
バラシが多い時はドラグを緩めるのではなく締める
いつも通りにラインを引っ張ってドラグが出る程度にしました。
このとき、PEラインを素手で引っ張ったのですが、まだまだコーティングが新品同様に残っていたためツルツルで滑ったこと、PEラインを傷めないようにと慎重だったことです。最初に巻き上げた時は18号のオモリのみでドラグが出ていました。締めなおしましたがそれでも緩めだったと思います。
いつもは18 月下美人 MX を使用しているのでスプール径は2000番です。
今回は、23 エメラルダスRX 2500番を使用しているのでラインは下巻きをしてさらに0.4号を200m巻いています。スプール径がいつもより大きいので、ドラグ設定が同じだとドラグが出やすい状態です。
従来のATDではなく2023年以降のモデルに搭載のATD TYPE-Lでドラグ調整に関するデータが自分の中に全くありませんでした。不安しかない。
タックルを変えてバラシが幾分か減ったように思えたのはおそらく、使い慣れたリールであったためドラグ設定が適切にできていたためです。
ドラグの設定方法
- スピニングリール
-
ドラグノブを右に回すとドラグが締まります
ドラグノブを左に回すとドラグが緩みます緩めすぎるとスプールが脱落します。
- 両軸・ベイトリール
-
スタードラグというハンドルの内側にあるヒトデのような形のパーツで行ないます
右ハンドルの場合
スタードラグを手前に回すとドラグが緩みます。
スタードラグを向こう側に回すとドラグが締まります。
適正値を数値で設定するのか?実釣で感覚を覚えるのか?
どっちにしても基準になるものがないとどうしようもないです。
ドラグチェッカー
ドラグ専用のチェッカーです。
Sakurai ドラグチェッカー
特長は以下の通りです
- 1kg/3kg/5kg/15kgの4モデル
- リールからでたラインで計測
- ロッドの先端からでたラインで計測
- ノット強度の計測
- 魚の重量の計測
計測方法は以下の動画が参考になります。
一人でも正確にドラグのチェックが可能です。
ノット強度の計測も可能です。
ドラグチェッカーは5千円以上します。
ウエイトチェッカー
ラインの先端をウエイトチェッカーに接続し、ウエイトチェッカーを引っ張った時に、表示が500gまたは0.5kgでドラグが出ればドラグの設定値は500g(0.5kg)ということになります。
ダイワ デジタルスケール 25
特長は以下の通りです
- 最大25kgまで計測可能
- データは10個までメモリー可能
- 単4形アルカリ乾電池2本
- 本体重量:約105g
- シングルフックとダブルフック付き
- メーカー希望本体価格: 5,100(税抜)
FREETOO 携帯用はかり
特長は以下の通りです
- 最大50kgまで計測可能
- 表示単位は【g】と【kg】を切り替え可能(日本計量法仕様)
- 表示は10g単位
- 30x20mmLCDスクリーン
- 90秒自動電源OFF
- HOLD機能
この携帯はかりで、普段のドラグ設定値を計ってみました。
結果、260g~300gくらいでした。
おかっぱりでウルトラライトやライトのパワーのロッドで極細PEラインで20cm前後のアジをノーマルの鈎で釣る分にはドラグ設定は300gくらいが適切です。
バチコンでPE0.4号で太軸の鈎を使って25cm以上のアジには少し緩すぎるようです。
設定には500mlのペットボトルを使用しました。
そのペットボトルの重量を計測したのが1枚目の写真です。
2枚目の写真は、リール直のラインの先端を携帯はかりに接続して計測しましたが垂直になってなかったので正しく計測できませんでした。
3枚目の写真が垂直に引っ張って計測した値です。
ペットボトルを計測した値とほぼ同じ値なのでこのはかりを使ってドラグ設定ができそうです。
リールから出たラインで設定すると実釣時はドラグはでにくくなります。
今回500gに設定した場合、500gより大きな力がかからなければドラグが出ません。
これはロッドが力を吸収してしまうためで穂先が柔らかいロッドではその傾向が特に強くなります。
ウェイトチェッカーの種類にもよりますが、ほとんどの製品で、リールから出たラインで計測するのであれば一人で計測できます。
ロッドの先端からでたラインで計測する場合は、2人で計測するかもしくは一人の場合は、どこかにウェイトチェッカーもしくはロッドを固定する必要があり簡単ではありません。
ロッドを持った同一人物が先端からでたラインで計測しようとするとロッドを立てて負荷を与えることになりロッドを破損させる可能性があります。
ペットボトル
メートル法で1立方デシメートルの水の質量を1キログラムと定められています。
水以外の液体で比重が1の場合、1ℓは1kgです。
500mlのペットボトルに入ったドリンクの重さは、ペットボトル容器の重さ+液体の重さです。
通常は500gよりは重くなりますが、約500gと考えればよいと思います。
500mlのペットボトルに入ったドリンクをラインの先に接続して、持ち上がらないくらいにドラグが出る設定にしたとき、ドラグの設定値が約500gと考えられます。
ペットボトルでドラグを設定する場合は、ロッドの先端から出たラインとリールから出たラインのどちらでも計測可能です。可能ですがロッドの穂先が柔らかすぎるとリールから出たラインを計測した値よりもドラグ値は大きくなります。
ロッドの先端から出たラインで計測時にロッドを立てるとロッドが破損する可能性があります。
「CRAFT BOSS じゅわっと果実のフルーツティー」のペットボトル容器(280ml)で新品の状態から一口くらい飲んだ容量のペットボトルを使用してドラグ設定をしてみました。
- 携帯はかりの数値は0.31kg(310g)でした。
- このペットボトルをイカメタルロッドにラインを通してペットボトルが浮き上がるかどうかくらいでドラグを設定を行いました。
- この時のリールから出たラインの先端を携帯はかりに接続して計測した値は0.23kg(230g)でした。
- ロッドに装着する前にあらかじめドラグ設定を行う
- 計測時は正確な数値を計測できるように垂直にする
- ドラグ設定に今回購入した携帯はかりが使用できる
アジのように口が柔らかい魚は、ドラグを緩めといわれています。
しかし、ロッドと逆方向に泳ぐと鈎が口の横側にいくため口切れを発生させやすくなります。
アジに抵抗させずにゴリゴリ巻いて反転させなければ結果的には口切れが少なくて済む可能性がある。
携帯はかりではドラグ設定を500gにしました。
ペットボトルでは230gに設定しました。
それぞれリールから出たラインで計測した場合です。
ロッドの先端からでたラインで計測するとドラグ値はそれより大きな値になります。
これは、使用しているロッドの穂先が柔らかく力をロッドが吸収してしまっているためです。
実際には500gや230gより大きな力で引っ張らないとドラグは出ません。
実釣では300g~500gの間で丁度良さそうなポイントに設定しようと思います。
それを決めるには基準になる値があった方が相対的に調整が可能です。
慣れてくれば感覚だけで調整できるようになると思います。
次の記事ではフックのサイズ、形状、太さなどでもフッキングに影響しバラシを激減させるかもしれないお話ですが尺サイズ以上のギガアジをターゲットにしています。