ラインカッターはどのメーカーのどの製品でも普通に切れるものだと思っていました。
実際に使ってみて、最初は切れるけどだんだん切れなくなるもの、テンションをかけていないと切れないもの、ラインの太さが変わると切れないもの、錆で劣化していくものなどなど様々です。
またラインといっても色々な材質と太さがあるため、専用のカッターでないと切れない物もあります。
これまでに使ってみたラインカッターについて記事にしてみました。
- ラインの種類
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釣りで使用するラインの種類は一般的に次の4種類です。
- ナイロンライン
- フロロカーボンライン
- エステルライン
- PEライン
モノフィラメント系(ナイロン、フロロカーボン、ポリエステル)の釣り糸に対して、PEラインはポリエチレン素材の極細繊維の原糸を編み込んで1本にした釣り糸(撚糸)です。
良いラインカッターとは
いつでもどんなときでも「スパッと切れる」
- 形状
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- ハサミ型
一般的な形状です。ハサミ型にはテコの原理の支点作用点の位置が異なるX字タイプとU字タイプがあります。 - 爪切り型
結線後の余り糸をカットするのに便利です。小型な物が多く携帯性がよいのが特長です。
- ハサミ型
- ラインの太さ
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私の場合は、使用するPEラインは0.15号~0.8号くらいまでです。
よく使用するのは0.3号と0.4号です。
リーダーラインにはフロロカーボンラインの1号~2号を使用します。 - 耐久性
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ハサミ型の場合によくあるのは、支点になるネジが緩んだりすぐに取れたりで動きが悪くなり使えなくなったり、2枚の刃の隙間の加減が変化してしまい切れなくなったりします。
- 耐食性
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防錆性ともいいます。カッターは刃の部分は金属製のものがほとんどですので、金属の表面を皮膜で覆うことで金属自体が変化してしまうのを抑止します。サビなどの腐食による金属の劣化で切れなくなってしまいます。
- ハサミはなぜ切れるのか?
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ハサミは、テコの原理を応用した2枚の刃をかみ合わせて切る単純な構造に見えて、実はそう簡単ではないようです。次のサイトにハサミに関する情報がありますので参考にしてください。
使ってみたラインカッター
ダイワ PEちょっきん
特徴は以下の通りです。
超高硬度ステンレス鋼
ギザギザ刃
メーカー希望本体価格 オープン価格
最初に購入したPEライン専用のカッターです。この商品が満足してPEラインをカットできていればいろいろな製品を購入することはなかったことでしょう。
ラインの太さ、テンションありなし、濡れてる乾燥しているなどなどラインの条件で切れる切れないに差がでます。
安定して切れるわけではありません。
ダイワ ラインカッターV40/V40S(斜刃)
特徴は以下の通りです。
ステンレス製
直刃/斜刃
カラー ブラック/レッド
メーカー希望本体価格 オープン価格
PE対応の記載のない製品は購入前に問い合わせしておくと購入後にトラブルを回避できます。
記載のない製品は未対応と思った方が吉です。
ダイワ リガー PS-105C
特徴は以下の通りです。
ステンレス鋼
ギザギザ刃
ピンオンリール等が取り付け可能な穴付き
PE・ナイロン・フロロカーボンラインに対応
角度自在の強力クリップ&360°ラチェット式回転ケース付き
メーカー希望本体価格 オープン価格
ナイロンライン、フロロカーボンラインはよく切れます。
PEラインは1本ふわっと芯が残る感じで、切断面はゴワっと綿状になってしまいます。
ロッドのガイドにPEラインを通す場合は苦労します。
ダイワ製リガーシリーズでは、AS110が同じハサミ型X字タイプでPEライン対応です。
ダイワ CARP AC-160 ダインカットマイクロA
特徴は以下の通りです。
握りばさみ
PEライン対応
日本製
全長45mm
ソルトで使用したためか錆が出ました。
新品の時はPEラインがスパッと切れていましたが、錆が出ると切れにくくなりました。
2枚の刃の隙間の影響か全く切れないときも多々あります。
ダイワ製では、プチリガーシリーズ PS46S、エメラルダス プチリガーPS、リガーシリーズ AS-75R/AS-75Fが同じハサミ型U字タイプでPEライン対応です。
ダイワ フィールドプライヤー2 130HB/130HB S
特徴は以下の通りです。
先端スリム形状(S)
ベント形状(HB)
ワンタッチストッパー
機能:スプリットリング外し、PEライン対応ラインカッター、フック外し、魚掴み
適応サイズ目安:#00~#3(S)/#3~#6(ノーマル)
サイズ:全長約130mm(130)
メーカー希望本体価格 オープン価格
ダイワ フィールドプライヤー2 130HB S(先端スリム形状)は、先端が折れるので注意が必要です。
写真は折れています。
#00~#0の極小スプリットリングオープナーにはピンセットタイプを購入してみましたが、ピンセットは力が入りにくく曲がりやすいので#00~#5まで対応しているFT-06マルチフォーセップを使用するように変更しました。
130HB/130HB Sともに、PEラインがスパッと切れます。
購入したダイワ製品の中では一番よく切れます。
ダイワ フィールドプライヤー2 130HBはスプリットリングオープナーの機能はアジング用には大きすぎるので、PEラインカッターとフック外しとして使用しています。
ダイワ PEシザー 125シリーズの125H+Fが先端がプライヤー形状になっていて類似品になります。
ダイワ フォーセップ M TYPE-B
特徴は以下の通りです。
フック外し
ラインカッター(PEラインやワイヤーに未対応)
シングルロック
先端はストレートタイプとベントタイプの2種類※
長さはSサイズ(125mm)とMサイズ(160mm)
メーカー希望本体価格 オープン価格
2・3回の使用で錆が出てきました。
本製品はPEラインのカットはできません。
ラインカッターの機能はナイロンラインとフロロカーボンライン用です。
オーナー FT-06 マルチフォーセップ
特徴は以下の通りです。
スプリットリングオープナー
フック外し
バーブ潰し
ラインカッター(テンションをかければPEラインもカット可能)
2段階ロック
先端はストレートタイプ
長さ:100mm(Sサイズ)/130mm(Mサイズ)
メーカー希望小売価格 1,800
フック外しなどに常備しています。
5回以上バチコンに持っていっていますが、ダイワのフォーセップとことなり錆が出てきていません。
PEラインのカットに関しては、仕様通りテンションをかければ切れますが、万能ではありません。
ラインが短いと切りにくく、細いほど切りやすいようです。
切れないときは、より糸の何本か切れずに残り、切れた箇所はゴアゴアになる傾向にあります。
YSC-3 ヤイバ魚絞めマルチシザース ミニ
特徴は以下の通りです。
全長120×最大幅68mm
ステンレス鋼
関の刃物
PEカット対応
メーカー希望小売価格 1,450
PEラインだけでなくナイロンラインやフロロカーボンラインなどすべてのラインカッターとして一番よく使用しています。
第一精工 ピッカーズ
特徴は以下の通りです。
ラインやワーム掴み
ジグアイへのライン通し
ラインカッター
サイズ:106x23x15mm
重量:19g
メーカー希望小売価格 2,090(税込)
ピッカーズは爪切り型のラインカッターが付属しています。
PEラインは切断できませんでした。
テンションをかけても無理です。
ピッカーズはワーム掴みやエイトノットに使用しています。
ダイワ 速攻8の字結び様に先端が金属製だと錆などで脆くすぐに折れてしまいますが、ピッカーズは非金属なので金属劣化しません。
2ルームスマイクロケースとクリップオンリールが付いているピッカーズEXもあります。
ダイワ プライヤーV 150HB
特徴は以下の通りです。
耐久性に優れたステンレスボディで淡水・海水を問わず使用可能
魚の口つかみ、スプリットリング外し
ハリ外し、ガン玉つぶし
ナイロン・フロロカーボンライン用ラインカッター
長さ:150mm(150)/ベントノーズ仕様(HB)
メーカー希望本体価格 オープン価格
PEラインが切れるとは記載ありませんが、0.6号や0.8号は切断できました。
ある程度の太さがあればパワーで切れるようです。
アジングやメバリングで使用するには大きすぎ重すぎですがスーパーライトショアジギングなどには丁度良いと思います。極小のスプリットリングでもオープンすることが可能です。
ウミボウズ フィッシングプライヤー fp-01
特徴は以下の通りです。
サイズ:全長約175mm
製品重量:約83.1g
材質:アルミニウム合金
機能:スプリットリング外し、PEラインカッター、フック外し、魚掴み
適応サイズ目安:#3~#8
スプリットリング外しとしてはアジングやメバリング用には大きすぎて使いどころはありませんでした。
PEラインはカットできますが極細ラインは無理です。
常にグリップが開いた状態である点、ラインカッターの刃が片面側に寄っているので端糸をカットする際に向きがある点で使うたびにストレスを感じます。アジングやメバリングで使用するには大きすぎ重すぎな印象です。
考察
PEラインを実際にカットした結果
実際にPEラインをカットしてみた結果です。
使用したPEラインは以下の通りです。
- UVF 月下美人 DURASENSOR+Si2 0.15号(AVE.2.8lb)
- 月下美人 UVF 月ノ響II+Si 0.3号(MAX4.8lb)
- エメラルダス SENSOR SSIII+Si ハイブリッド 0.6号(MAX9lb)
- モアザン 8 BRAID UVF+Si 0.8号(MAX 13lb)
2回以上で切断可能
(切断面不揃い)
(切断面綺麗)
種類 | 0.15号 | 0.3号 | 0.6号 | 0.8号 | 解説 |
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ダイワ PEちょっきん | 〇 | 〇 | 〇 | △ | 刃の場所によりきれないこともあって安定してはきれない。 |
ダイワ ラインカッターV40S(斜刃) | × | × | × | × | 非対応なので仕様通り切れない |
ダイワ リガー PS-105C | 〇 | 〇 | ◎ | △ | 刃の場所によりきれないこともあって安定してはきれない。 テンションをかけないとダメなことが多い |
ダイワ CARP AC-160 ダインカットマイクロA | × | × | × | × | 新品の状態ではスパッときれていたが錆が出てきて全く切れない |
ダイワ フィールドプライヤー2 130HB | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | テンションをかけなくてもスパッと切れる |
ダイワ フォーセップ M TYPE-B | × | × | × | × | PEライン非対応なので仕様通り切れない |
オーナー FT-06 マルチフォーセップ | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 仕様通りテンションをかければ切れるが失敗すると何本か芯が残る。 |
YSC-3 ヤイバ魚絞めマルチシザース ミニ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | PEライン切断用のギザギザ部でテンションをかけなくてもスパッと切れる |
第一精工 ピッカーズ | × | × | × | × | PEライン非対応なので仕様通り切れない |
ダイワ プライヤーV 150HB | × | × | 〇 | 〇 | PEライン非対応だがPE0.6号より太いラインは押しつぶして裂いて切断しているイメージ |
ウミボウズ フィッシングプライヤー fp-01 | △ | 〇 | 〇 | 〇 | 押しつぶして裂いて切断しているイメージ、0.15号はきちんと押しつぶせず切れない |
PEちょっきんやリガーPS-105Cは、刃のどの場所を使用するのかやラインのテンションやラインの堅さで切れ方が異なりばらつきがあります。
PE専用ハサミでありながら安定してきれないので評価は低くくなってしまいます。
PEラインカッターの使用頻度は割と少ない!?
今回はPEラインを切断できるラインカッターについて記載しました。
しかし、釣り場でラインを切るという作業はリーダーラインのカットがほぼすべてです。
無理やり使用する必要がある状況を考えるとトラブル発生時かタックルの大幅な変更くらいしか考えられません。
ラインカッターはリーダーラインに使用しているラインが切れればよく、通常の釣り場ではメインのPEラインをカットするという事態が起こりそうにありません。
使用頻度を考えるとそれほど重要視する必要はないのですが、たまに使ったときにはスパッと切れてくれないと気持ちが悪いのがPEラインカッターです。
総評
おススメの3製品を選んで順位を付けてみました。
ここでは、あくまでもPEラインをカットする場合での順位です。
実用性ではオーナー FT-06 マルチフォーセップが一位です。
魚絞めとラインカッターの機能で圧倒的に使用するのがラインカッターです。
PEラインがスパッときれるのでおススメです。
鬼カサゴなど毒針のある魚を家で捌くにはガリガリ切れるハサミが重宝します。
切るという機能では一番のアイテムだと思います。
マルチシザースは4種類あります。
小さなサイズから順にYSC-3(ミニ)、YSC-4(ミディアム)、YSC-1、YSC-5(メガ)です。
ダイワの類似品です。
ノーマルの先端はアジングやメバリングで使用するスプリットリングオープナーとしてはサイズが大きすぎて使用できませんので注意してください。アジングやメバリングで使用するスプリットリングオープナーとしては130HB Sがジャストサイズですが先端がすぐに折れるのでおススメしません。スプリットリングオープナーはピンセットタイプなど別に用意するか次のFT-06の方がPEラインのカットの質は落ちますが実用性ではおススメです。
ダイワの類似品です。ロックしたりが面倒な場合はこちらがおススメです。
PEラインカッターの性能では3番手になりますが、トータルの機能では断トツで1位だと思います。
アジングやメバリングで使用するスプリットリングオープナーとしても適応サイズです。
実際の釣行でPEラインをカットするシチュエーションよりもフロロカーボンラインやナイロンラインをカットする頻度の方が多いので実用性で1位のアイテムです。
船上でFGノットを組むときにPEラインの端をこのフォーセップでロックして丁度良いテンションをかけることができました。ロック機能はアイデア次第で使い道が広がります。
また、他の製品と比較しても錆びにくい点がおススメです。
余り糸の長さを微調整できるまた誤って本線を切断してしまわないのでノット結束には爪切りタイプがおススメです。個人的にはハサミタイプは誤って余り糸と一緒に本線を切断しやすいです。
今回紹介していませんが、ライタータイプのカッターがあります。
熱を使用しますが火を使うわけではありません。
USB充電式のものが多く、電気で高温を発生させてカットします。
ノットのコブを作るのにも利用できるので重宝します。
先端が1200℃以上と高温になるので火傷や火災など取り扱いに注意が必要です。